チャップリン・独創ではないからこそ長く残った
山高帽、ダブダブのズボン、大きなドタ靴、ちょびヒゲ。「喜劇王」といわれた俳優・映画監督チャーリー・チャップリン(1899~1977、イギリス出身、おもにアメリカで活躍)のおなじみの扮装です。でも、この扮装は彼の独創ではありません。その各パーツは、当事人気のあったコメディアンの影響を受けたものだといいます。研究家によれば、ズボンと帽子は誰から、靴は誰から、ヒゲは誰から、というふうに特定できるのだそうで...
View Articleモハメド・アリ 私たちに多くを与えてくれたアスリート
6月3日(この記事をアップした日)は、ボクサーのモハメド・アリ(1942~2016、アメリカ)の命日です。このブログでは、コンテンツの一部として、その誕生日や命日などに偉人を紹介する記事をたまにのせています。モハメド・アリは、ボクシング史上最も有名なボクサーでしょう。それは強かったからだけではありません。強さや戦績だけなら、彼に匹敵する人はほかにもいます。アリはローマオリンピック(1960年)で金メ...
View Article生成型AIは「人間の精神」と「外界」のつながりを歪めるかもしれない
ChatGPTに代表される生成型AIというのは、情報の検索や整理、アイデアの検討などに役立つ道具です。そういうものとして使いこなせる人は、ぜひ使えばいいと思います。その一方でChatGPTは「人間の精神・認識」と「外界」の関係をかく乱したり、歪めたりする恐れがある道具だとも思います。人間の精神・認識と外界の関係を歪めるリスク――これが生成型AIの「負の側面(副作用)」の本質的なところではないか。生成...
View Articleすぐれた読みやすい自伝・坂本龍一『音楽は自由にする』
今年3月に亡くなった坂本龍一さん(1952~2023)の自伝『音楽は自由にする』(新潮文庫)を読みました。2009年に新潮社から出版された単行本を、つい最近(2023年5月発行として)文庫化したもの。編集者の鈴木正文さんを聞き手として坂本さんが語ったことを、インタビューとしてではなく、「ひとり語り」としてまとめています。本書は、1人の音楽家の歩みを生き生きと伝える、すぐれた自伝だと思います。「現代日...
View Article映画『君たちはどう生きるか』は監督の自叙伝で、漫画版『ナウシカ』最終巻の映像化
*以下、映画についてのネタバレを含みます。まだこの映画をご覧になっていない方は、できるだけ予備知識なしでみることをおすすめします。そもそも巨匠監督の作品を「どんな映画か」まったく知らずにみるなんて、今の時代ではなかなかできない、贅沢なことです(これはある映画評論家の方が述べていました)。私も予備知識なく本作をみて、それを実感しました。この記事は「この映画をすでにみた人と、映画について一緒に考える」た...
View Articleビッグモーターと前社長にこれから起きることは?「許認可」に注目
昨日、ビッグモーターの不祥事(自動車保険の不正請求など)について、テレビのワイドショーで「創業者の前社長に対し、どのような責任追及が可能か」を解説していました。私は会社員時代に、法務・コンプライアンス関係の部署にいたことがあったせいか、こういう企業の不祥事には関心があります。ワイドショーで述べていたのは、要するに「“前社長への”責任追及には、いろいろむずかしい面がある」ということ。たとえば「詐欺罪に...
View Article第二次世界大戦の犠牲者数・最も犠牲が多かった国は?
第ニ次世界大戦(1939~1945)による死者は、世界全体で軍人(戦闘員)2305万人、民間人3158万人、合計5400万人余りにのぼりました。これは、第一次世界大戦(軍人・民間合計で約1800万人)を大きく上回るものでした。*ウッドラフ『概説現代世界の歴史』ミネルヴァ書房、2003年、原著1998年、213ページ(Robert Goralski編 World WarⅡ Almanac...
View Article「あの戦争」を何と呼ぶか・太平洋戦争の呼称
太平洋戦争(1941~45)などの昭和の戦争の名称に関しては、いくつかの立場があります。つまり、いくつかの呼び方がある。それは、政治的立場やそれと結びついた歴史観・世界観の相違を反映しています。じつは昭和の戦争にかぎらず「歴史的事件を何と呼ぶか」という問題は、つねに歴史観や世界観と結びついているので、いろいろな議論があるものです。そのなかでも「昭和の戦争の呼称」は、とくに代表的な事例といえるでしょう...
View Article津田梅子・不自由な「母国」で道を切りひらいた女子留学生
明治4年、数名の少女が国費の留学生として米国に渡りました。その最年少が6歳の津田梅子(つだうめこ、1864~1929、元治元年~昭4)でした。彼女は通訳である藩士の娘で、父親は自分の娘に特別な教育(完全な英語力など)を与えたいと考えたのです。津田梅子は(ご存じかと思いますが)後の津田塾大学を創設する人物です。2024年から発行される5000円札には彼女の肖像が用いられます(8月16日は、彼女が亡くな...
View Article『一気に流れがわかる世界史』発売
しばらく更新を休んでおりました。はてなブログのお仲間への訪問もできていないなか、告知の記事で再開というのは恐縮ですが、私そういちの新しい本が出るので、お知らせさせてください。2月5日に、PHP文庫から『一気に流れがわかる世界史』(秋田総一郎名義)が全国の書店やオンラインの書店で発売になります。一気に流れがわかる世界史 「中心」の移り変わりで読み解く (PHP文庫)作者:秋田...
View Article被害者意識による暴力の恐ろしさ・深刻さ
今現在のイスラエルによるガザ地区への攻撃をみていると、「被害者意識に基づく暴力の恐ろしさ・深刻さ」ということを強く感じます。イスラエルは、直接的には2023年10月に行なわれたハマス(ガザ地区を実効支配するイスラム勢力)によるイスラエルへの越境攻撃への報復として、ガザ地区への攻撃を行っているといえます。しかし、ガザへの攻撃の常軌を逸した激しさ――基本的にイスラエル寄りのアメリカ大統領でさえ嫌悪するほ...
View Articleこの30年余りの「失敗」「まちがい」を再点検しよう・日経平均の最高値更新
先週2月22日、日経平均株価は3万9098円の終値で、1989年末のバブル経済時代の最高値を更新しました。一応これは画期的なことといえると思います。でも、1990年頃と比較してアメリカの株価(ダウ平均)は13~14倍になっているのに、日本は1990年頃の株価を30年余りかけてようやく回復したということです。また、1989年末時点で、日本の株式の時価総額は、世界の37%を占めていましたが、今は6%に過...
View Article浜口ミホ(ダイニング・キッチン開発)と三淵嘉子(「虎に翼」のモデル)
4月12日は、「日本初の女性建築家」といわれる浜口ミホ(1915~1988)の亡くなった日です。彼女の代表作は、1950...
View Articleインターネット空間の治安を守る「警察」が要る?
インターネットには、一般に普及し始めた頃、「国家やマスコミやその他の権威から自由な、開放的空間」というイメージがありました。ある種の「性善説」でインターネットをみていたわけです。ところが今は、インターネットは、悪意や愚かさに満ちた、かなり危ない空間になっています。局所的には「比較的安全」といえる場もありますが、詐欺、偽情報、誹謗中傷、差別的発言などがあちこちで強い影響力を持つ、相当に「無法」な場にな...
View Articleじつは「知の巨人」・かこさとし
5月2日は、絵本作家かこさとし(1926~2018)の亡くなった日です。かこは、昭和の後期~平成に「だるまちゃん」「からすのパンやさん」のシリーズや、数々の科学絵本など、生涯で600もの作品を残しました。彼は、もともとは東京大学工学部卒の技術者です。40代までは会社勤めの傍ら絵本を発表し、その後専業作家となりました。科学絵本での彼の創作の特徴は「徹底した研究」です。本格的な科学の素養をもとに、「川」...
View Article「国家を拘束する」という憲法観と三権分立
「憲法とは、国家権力(政府)をも拘束する最高の法規である」という、古典的な憲法観を、私は信奉しています。ただし、「そのような憲法観はもう古い」などという主張もあるようです。そこには「国家権力を法(憲法を頂点とする法体系)から解放して自由な状態におきたい」という狙いがあるのでしょう。***「国家権力をも拘束する最高法規」という憲法観は、三権分立についての理解があると、より深まると思います。三権分立とは...
View Articleヘミングウェイ・氷山の水面下
7月2日は、作家アーネスト・ヘミングウェイ(1899~1961)の亡くなった日です(誕生日は7月21日)。ヘミングウェイは「省略の文体」といわれる、シンプルで力強い表現で知られます。彼は自分の文章を「水上に現れる氷山の8分の1」に例えました。書く対象について十分な知識や経験(水面下の8分の7)があれば、多くを省略して書いても、読者には伝わるのだと。彼は、自分の表現を支える「氷山の水面下」を大きくする...
View Article都知事選から思う・「何が嫌われているか」を察知することの重要性
今回の東京都知事選の結果をみて、とくに思ったのは、つぎのことです。「政治において、与党や既得権側ではない、挑戦者あるいはアウトサイダーにつよく求められるのは、“有権者のあいだで何が嫌われているか”を察知することである」その「嫌われている何か」がみえていれば、それを「敵」として批判・攻撃することを、ときには貶めることさえも、徹底して行うのです。情熱をこめて、ひるむことなくそれを行う。それは自分の立場や...
View Article映画『ルックバック』感想・「自分の才能」と向き合う
先日、郊外のシネコンでアニメ映画『ルックバック』(押山清高監督)を、夫婦で観てきました。人気漫画『チェンソーマン』の作者・藤本タツキによる同タイトルの短編(といっても150ページ弱あるそうです)をアニメ化したものです。「上映時間58分」という、多くのスクリーンで公開される作品としては異例の尺。ネット上の評判をみて、「ぜひ観たい」と劇場に足を運びました。私が観たときは、若い客がほとんど。中高年は私たち...
View Articleジャンヌ・ダルク 農家の娘の、国を救う戦い
「ジャンヌ・ダルクってほんとうにいたんですか」という人と話したことがあります。たしかに「伝説」っぽい人ですが、彼女は実在の人物です。パリオリンピックが開幕します。「フランスといえばジャンヌ・ダルク(1412~1431)」ということで、彼女をごく手短にご紹介。***1400年代のフランスに、ジャンヌというごくふつうの、中流の農家の娘がいました。彼女は17歳のとき、英仏の「百年戦争」で、フランスの重要な...
View Article定員のある夢・オリンピックをみながら
「夢をかなえる」というときの「夢」は、「その夢にどの程度のきびしい定員があるか」という視点で分類・整理ができると思います。つまり、「その夢・目標をかなえられる人数がどれだけ限定されているか」ということは、「夢」というものを考えるうえで大事な要素です。そのような「定員」が最もきびしいのが、スポーツ競技の世界です。オリンピックで金メダルがとれるのは、世界でたった1人。オリンピックに出場できる枠も、きびし...
View Article私の長期投資・この20年余りのこと
私は、30代だった2000年頃から株式投資をしています。といっても、個別銘柄ではなく、株式投資を行うファンドを複数買っているのです。私が買いはじめた当時、日経平均は1万円を切っており、株式投資への関心は、今よりも低かったと思います。その後、夫婦共働きでそれなりの給料があった頃には、夫婦それぞれで毎月の積立とともに、ボーナスでファンドを買っていました。当時の私たち夫婦は、今でいうFIREをめざしていま...
View Articleコレクションされるモノの価値
大谷翔平選手が「50-50」を達成したときのホームランボールが、日本円で6億6千万円で落札……こういうニュースを見聞きすると、「コレクションされるモノの価値」というのは、そのモノ自体よりも、その背景にある「物語」「コンセプト」のような付加的な情報なのだと痛感します。あの6億何千万円のボール自体は、モノとしては、少し汚れた、ただの野球ボールにすぎないのですから。***ドラえもんのひみつ道具に「流行性ネ...
View Article系統だった政策のパッケージを
明日10月27日は衆議院選挙の投票日。誰に・どこに投票するか。さまざまな立場の政党があります。おもな政党のそれぞれの主張には、それぞれもっともなところがあると、私は思います。この「それぞれもっともなところがある」という感覚を、私は大事にしているつもりです。しかし、自分の考えとぴったり重なると思える政党もみあたりません。それは当然のことです。いろいろ不満があるとしても、ベターだと思う政党や人を選ぶのが...
View Article日本とアメリカの選挙・政治に影響を与える嫌悪感
10月の日本の衆議院選挙と先日のアメリカ大統領選挙を通じて、私は「今の政治を動かしている嫌悪感や憎しみは何だろうか」ということを考えました。何かを嫌い・憎む感情が、今の政治には決定的な影響をあたえていると思うのです。現代の先進国のような、以前ほどの経済成長ができなくなった社会、つまり将来への期待を持ちにくい社会では、嫌悪感のような人間のネガティブな面が強い影響力を持つ、ということです。そして、私のな...
View Article兵庫県知事選挙の結果から・何が嫌われているか
「何が嫌われているか」を見出し、それを徹底的に攻撃すること――それが現代の選挙ではきわめて重要である、ということを、このブログでは、このところ何度か述べています(都知事選やアメリカ大統領選関連の記事)。経済成長が見込めなくなった、将来への期待を抱きにくい社会では、そのようなネガティブな感情が大きな影響力を持つ、ということも以前に述べました。今回の兵庫県知事の選挙でも、上記の主張はあてはまると思います...
View Articleデマに騙されないための大事な考え方
デマに騙されないための考え方について、科学史家・教育学者の板倉聖宣(1930~2018)は、1964年に高校生向けの雑誌に発表された文章で、こんなことを述べています。“相手のデマや宣伝にひっかからないためには,相手の言い分にのって,こまごました議論や行動にインチキがないかどうか、一つ一つ緻密にたしかめていっても,なかなかそのまちがいに気づかないことが多いものですが,おおまかでもよいから,もっと広い視...
View Article「管理者」「中間管理職」たちの記者会見
さきほどまで16時頃から3時間くらい、まだ続いているフジテレビの記者会見の放送をみていました。私がとくに感じたのは、「この社会では、“ほんとうの権力者”は、きわめて稀な存在である」ということです。つまり、真の意味で「自分だけが自分の主人であり、誰かに自分を委ねる必要がない人間」は滅多にいないのだと。この会見で説明していたメディアグループの社長・会長を含む経営幹部の人たちは、何かを恐れている感じがしま...
View Article現代や未来を考えるための世界史の記事
今年の新しい取り組みで、2週間ほど前にnoteをはじめました。「現代や未来を考えるための世界史の記事」ということをうたっています。それを、世界史に詳しくない人にもわかりやすく。すでに10本近い記事を投稿しています。それらのnoteの記事は、これまでやってきたブログ記事の大幅な増補・改訂です(元の記事の2倍~数倍の分量になっています)。そのような、過去に書いたものの再検討・完成版のような記事を今後も投...
View Articleカルトの「説明力」という魅力にご用心
オウムによる地下鉄サリン事件から30年。私は当時若いサラリーマンで、仕事の傍ら哲学や歴史の本を読むのが、大事な生きがいや逃げ場でした。一応は会社生活になじんでいましたが、違和感もかなり感じていました(のちに40代の時、私は起業するために会社を辞めています)。そんな私にとって、あの事件は大きな関心をひくものでした。とくに「有名大学出身者などの、かなりのエリートたちが、なぜあんなカルトにひっかかったのか...
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