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ジャンヌ・ダルク 農家の娘の、国を救う戦い

「ジャンヌ・ダルクってほんとうにいたんですか」という人と話したことがあります。たしかに「伝説」っぽい人ですが、彼女は実在の人物です。

パリオリンピックが開幕します。「フランスといえばジャンヌ・ダルク(1412~1431)」ということで、彼女をごく手短にご紹介。

***

1400年代のフランスに、ジャンヌというごくふつうの、中流の農家の娘がいました。

彼女は17歳のとき、英仏の「百年戦争」で、フランスの重要な都市オルレアンがイギリス軍に包囲され苦戦しているなか、「今こそ戦って国を救え」という不思議な声を聴き、立ち上がります。

彼女は13歳から、そのような「声」を何度か聞いていたのですが、まさに動き出すときがきた、ということです。

 彼女はまず、親戚のおじさん(彼女を信じた)に付き添ってもらい、フランス軍の司令官の1人を訪ねます。そして、「王太子シャルル(当時の最も有力な権力者、のちにフランス王シャルル7世)に取り次いでほしい」と懇願し、希望が実現。

そして、最初は半信半疑だった王太子や周囲の学者も、対話を重ねるうちに彼女を信じるようになりました。「神の声を聞いた私が、戦いを率いて国を救う」という、彼女の言葉には、たしかに力があったのです。

王太子は、ジャンヌに数千の兵をあたえオルレアンへ派遣します。そして、オルレアンの軍人・兵士は、彼女の指揮でイギリス軍を敗走させてしまいました。

彼女はそのカリスマ性で、軍隊の士気をおおいに高めました。それだけでなく、彼女は具体的な戦術(どこをどう攻めるか)も打ち出しています。その指揮が有効だったのです。

彼女に会った人は、最初は「この娘、頭がおかしい」と思います。しかし、結局は信じてしまう。

その後、ジャンヌはシャルルにほかの地域のイギリス軍への積極的な攻撃を進言し、その進言を受け入れたシャルルの軍に参加しました。攻撃は、成功をおさめます。

そして、王太子は、シャルル7世として即位。シャルルには、国内にもライバルや敵がいたのですが、それをおさえてのことです。ジャンヌはその即位の立役者でした。

しかし、事態が落ち着くと、彼女は危険人物として孤立していきます。

そして、フランスの政敵側に捕えられ、さらに身代金を支払ったイギリス側にひきわたされてしまいました。国王シャルル7世も、彼女を切り捨てたのです(身代金を国王が支払ってジャンヌをひきとる選択肢もあったが、それは行われなかった)。

捕らえられたジャンヌは、イギリス側とフランスの反ジャンヌ勢力によって裁判にかけられます。そして、「異端(神に反する悪)」の判決をうけ、火あぶりの刑に処せられました。このとき、彼女は19歳。

以上は史実です。 この驚異の出来事は、当時の人びとの信心深さや愛国心の芽生え、苦しいときの「奇跡への願望」などの条件が重なった結果です。

条件がそろえば、「ジャンヌ・ダルク」はまた現われるかも。 

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(以下、妄想です)パリオリンピックの開会式では、最終聖火ランナーはジャンヌ・ダルクの格好をした女性になるでしょう(イングランド人が怒るかな)。

その最終ランナーがドローンに点火し、ドローンがエッフェル塔の先端にこっそり設置された、小型の聖火台に飛んでいって火をともす(エッフェル塔そのものが聖火台)……そんなことを私は期待していますが、どうなることか?

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(追記:2024年7月28日)
はてなブログのお仲間である、空飛びネコさんからこの記事に頂いたコメントで「状況が混乱している時に、周辺的な立場から状況を打破する人物が現れると、カリスマとして持ち上げられるが、状況が落ち着くと中心の人々から異端として排斥される」という主旨の指摘がありました。

たしかに、まさにジャンヌはこれにあたりますし、空飛びネコさんもいわれるように、過去にも現在にも、大小さまざまなかたちで、似たような「排斥」の事例はあるわけです。
日本人におなじみの例だと、源義経はそうです。義経には神の声や女性という要素はありませんが、その活躍や排斥された経緯はジャンヌと似ています。「経験のない若き軍事的天才」という点も共通している。義経の活躍で権力の座についた源義経は、シャルル7世にあたるわけです。

空想的な歴史ドラマとして「義経はほんとうは(若い)女性だった」という設定(そういう「おんな○○」「ミス○○」というのは過去にもありました)にすれば、日本版の「ジャンヌ・ダルク」になるでしょう。これは、現代的ないろんな視点やテーマも扱えるような気がします。

参考文献


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